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駿がダンジョンに着くと、電話をしていた健に話しかける。
「よお。誰に電話してたんだ?」
「いや、ちょっとした用事だ。それより、数日振りだな!元気にしてたか?」
「お前の方こそ、勝手にダンジョンに入って野垂れ死んだんじゃないかと心配だったさ。」
「はぁ!お前こそ…」
「さあ、早くダンジョンに入るぞ。」
「…」
「どうした?ダンジョンに入るぞ。まさか、そんなにショックを受けたのか?」
「…駿、俺にバフをかけてくれ。」
「はあ?まだ入ってないのにかけてどうするんだ?」
「ポータルを壊す。」
「…は?何言ってんだお前!ポータルの損傷は他の国と連動する。中国の適正者が間違えて傷つけたせいで、お宝の力が弱まっちまった。そのせいで、そいつが死刑になったのを忘れたのか!?まじで頭が狂っちまったのか!?」
「今、一番適正者が多いのはどこだと思う?」
「確か…ロシアだろ。16人も適正者がいる。話を逸らすな。」
「ロシアは今、適正者の力を軍事転用しようとしている。」
「なんだと!?」
「もしそんなことがあれば、誰もロシアに勝てねえ。あのクリスがいなければ、何とかなったかもしれねえが…」
「だが、そんなことしたら俺達の家族まで危ない!健、お前はそんなことも考えてねえのかよ!」
「これは日本がアメリカと話し合って決めたことだ。しなければ、その方が家族が危険にさらされる。」
「…っち。選択肢なんかねえじゃねえかよ。」
駿が健にバフをかける。
「最大出力だ。さっさとポータルをぶっ壊しちまえ。」
「…!ありがとう!駿!」
健がコウテツを使う。
「うおおおおお!」
「おい!そろそろバフが切れる!まだか!?」
しかし、ポータルを壊し切ることはできなかった。健は拳を地面に叩きつける。
「くそっ!あと少しなのに!もし、ロシアに気付かれたら終わりだ!くそっ!くそっ!」
「おい!健!前を見てみろ!」
「何も言ってんだよ。何度見たって結果が変わるわけねえだろ!」
「ああもう!いいから前を向けっ!」
駿が無理やり健の顔を前に向かせる。そこで建は有り得ないものをみた。
「ポータルが…壊れてる?」
「ああそうだ!俺達が壊そうとしたことに気付いて、誰かが壊してくれたんだ!」
「一体誰が?」
「そんなことどうでもいいだろ!見ろ!バフが使えねえ!建、お前が言ったことは正しかったんだ!これでロシアを止めることができた!」
「まさか…」
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