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誕生日 2話
自分の誕生日がくるのは、久しぶりだ。
うるう年生まれだから、4年に一度だけの誕生日。
そして、左京と結婚してから、初めて迎える誕生日だ。
だけど、4月には新婚旅行を控えているし、年度末の忙しい時期である。
当日は、左京と一緒に過ごせたらいいなぁ。
蘭の希望はそれだけだった。
しかし、左京は「初めて、蘭の誕生日をお祝いできる」と張り切っていた。
仕事の合間を縫って、温泉好きの蘭のために、二泊三日の温泉旅行を計画してくれたのだ。
左京からは事前に、「休みを取ってて」と言われていたので、有休申請済みだ。
蘭のやることはそこまでで、温泉旅行の手配はすべて左京がやってくれた。
「左京さん、忙しいだろ? オレも手伝うのに」
「蘭の誕生日なんだから、全部俺に任せてよ」
左京はそう言って、にっこりと笑った。
「でもさぁ」
「蘭を喜ばせるのが、俺の仕事だろ?」
だから任せて、と自信満々だ。
その笑顔にキュンとしていると、甘いキスが降りてくる。
せっかく左京がやる気になっているのだから、素直に甘えることにした。
少しの不安はあったが、左京が蘭のために頑張ってくれてる姿を見ると、やっぱり嬉しい。
「じゃあ、楽しみにしてる」
蘭が微笑むと、左京は「期待してて」とにっこり笑った。
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