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2年目
わたし達は他愛もない話をして「またね」と別れた。
次があるのかわたしは半信半疑だった。しばらく着信を意識する日々が続いたものの、そのうちきっと来ないのだと、彼からの連絡を待つ気持ちを消し去った。
一年たったある日、また彼から誘いがあった。
「ご無沙汰してます。会えますか?」と。
そしてわたしたちはまた、途中下車した彼と、駅の構内の静かなカフェでお茶を飲んだ。彼もわたしも別段空腹でもなく、ただゆっくりできる場所があればよかったので。
「2度目があるとは思ってなかった。また10年くらい放置かと思った」
わたしはそう言ってちょっと彼を揶揄った。
「それも考えた。考えたけど無理だった」
「無理って」
わたしは軽く聞き流す。
突き詰めて何が得られるだろう、わたしはここでこうやって顔を見ることができる奇跡だけで、これほど癒されるのに。
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