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「父、雪ん子もなんか食べたい。なんか買ってけれ」
そんな中、会場に並ぶ屋台の食べ物屋を見たら雪ん子が、雪男の袖を引っ張っておねだりをする。
「そうだな。せっかくだし何か食べるか……S市といったらやっぱりラーメンだな。冷麺でもないか、ちょっと探してくる」
すると、雪男も乗り気にそのおねだりを受け入れ、踵を返すと屋台の方へと歩いて行く。
「あ、それじゃあ、わたしも|冷たいお飲み物買ってきますね。雪ん子さんは迷子にならないよう、ここから動かずに待っていてくださいね?」
「うい!」
また、雪女もそれに続いて、さっき自販機を見かけた方角へと雪ん子を残して行ってしまう。
「雪ん子、ひとりぼっちでお留守番……でも、ここ楽しいから淋しくない!」
その残された雪ん子だが、今いる場所の周囲には、氷の巨大滑り台やら、氷柱の輪投げやら、小さな雪だるまの射的やらのゲームブースが並んでおり、彼女と同年代の子供達で大いに賑わっている。
「ここから動かなければいいんだもんね……雪ん子もなんかやろう!」
無論、子供ホイホイなその魅力に逆らうことはできず、雪ん子はさっそく興奮気味に遊具の物色を始めた──。
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