NO SECRET NO CHANCE

考察

　俺は自分の部屋で昼間の事を思い返した。別に探偵みたいな事をする気は無かった。ただ暇を持て余していた。
　今は１月で俺は高校３年だが、進学は指定校推薦で決まっていた。クラスの連中の大体がそんな具合だった。
　さて。どうして会った事自体を秘密にしなければならないのか？幾つか考えられる。
　一つ目はみんなに俺と会った事がバレるのが嫌だったから。
　二つ目はショッピングモールに居た事を知られたくなかったから。

　まずは一つ目。
　俺たちは中学生じゃない。ショッピングモールで偶然、出会った事が周囲に知られても『だから？』って具合だろう。俺たちが付き合っているだとかそんな風に冷やかす奴は居ないだろう。それに嫌われていたら、わざわざ話し掛けたりはしない。無言で立ち去るだろう。少なくとも俺ならそうする。だから、これは違う。

　次に二つ目。
　女子高生にとって、地元のショッピングモールに買い物に行く事は恥ずかしい事なのかも知れない。もっとお洒落な場所に出入りするのがステイタスなのかも知れない。
　いや、出会ったのはペットショップだ。これも手掛かりかも知れない。園田さんはペットを飼いたい。けど、彼女の両親は反対している。その反対を押し切り、強引に飼おうとしている、とか？
　そこまで考えて、俺はその考えを打ち消す。ありえない。むしろどうでもいい。
　俺は上を向き、ため息を吐いた。
　まあ、どうでも良い事じゃないか。俺は誰にも言わない。それだけだ。彼女の言うタカラモノも興味はない。