バッカじゃない?

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「なんなんだよ」と俺は呟く。園田さんの背中はどんどん小さくなっていった。 「せっかく教えてやったのに」とさらに言葉が漏れた。人の気も知らないで。  風が強く俺に吹きつけた。不思議と寒さは感じなかった。なんだか自分の中にはもう何も大事なものが無い気がした。だから寒さも感じないのだろうか。  俺は歩き出した。歩くたび、足から力が抜け、いくらも歩かないうちに止まってしまった。俺は目を閉じた。暗闇の中で小さな光が見えた。  園田さんだった。  俺は目を開き、大きく息を吸い込み、走り出した。
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