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御守りが落ちていたという廊下は、俺たちが泊まっている教室から体育館に通じる途中の場所だった。
外の木に遮られ、僅かな月明かりすらもない。
昼間はなんとも思わなかったが、夜になるとこんなに不気味なのか。
「誰もいないか霧谷と見回ってたんだよ。そしたら、ここに御守りが落ちてたってわけ」
「成程な」
霧谷というのは俺たちと一緒に合宿を行っているここの学校の部長だ。
暗い、不気味。
それ以外はなんの変哲もないただの廊下だ。
(俺の思い違いだったのか?)
しかし、どうもスッキリしない。
どうしたものかと思いつつ、俺は黒井と教室に戻る。
教室に戻れば、星野を除いた部員が和気藹々とトランプで遊んでいた。
やっぱり星野はいない。
「部長、葉山さん。二人で何してたんすか?てか、星野見ませんでした?アイツどこにもいないんですけど」
星野と同級生の陽太が俺たちを見て口を開いた。
てことは、コイツも知らねぇのか。
「そのことなんだけど、星野見つからないんだよね。お前らなんか知らない?」
黒井が全員に聞くも、陽太や俺たちと同じで星野の行方は誰も知らなかった。
これはどう考えてもおかしい。
「おい、葉山。俺ちょっとマネの部屋も見てくるわ」
「俺も行く。お前ら星野戻ってきたら頼む」
部屋にいる同級生と後輩にそう言い残し、俺と黒井はまた教室を出た。
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