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「星野くん?知らないですね」
トイレに行ってる俺たちの学校のマネの代わりに出てきたのはここの学校のマネだった。
無造作に纏められたそこまで長くない髪は、外見に気を使う女子高生の中じゃ珍しい。名前はなんだったか。
そこまで目立ちはしないが、改めて見るとかなりの美人だ。
「そうか……悪いね」
「いえ。でも、どこ行ったんでしょうね」
マネが不思議そうに首を傾げた、その時だった。
一瞬意識の飛ぶような浮遊感に俺は倒れそうになったが、何とか持ちこたえて近くの壁に手を着く。
なんだ、今の。
「大丈夫ですか、葉山サン」
「おう、大丈夫大丈夫……って、星野!?」
聞き覚えのある皮肉な声に顔を上げれば、そこにいたのは探していた星野だった。
俺は安堵し、バシバシと星野の肩を叩く。
「なんだよ、お前心配かけやがって。なぁ、黒井……黒井?」
しかし、今度は黒井がいなかった。
いや、黒井だけじゃない。マネもいない。
いるのは生意気な顔をした後輩ただ一人のみ。
「前から思ってましたけど、葉山さんって不幸体質なんですか?」
「突然なんだよ!失礼だな!」
「実際そうじゃないですか。そうでなきゃこんな異空間になんて飛ばされませんし」
異空間。
俺は目を見開いて星野の顔を見つめる。
もしかして、コイツも知ってる側の人間なのか?
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