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第一章 行方不明になった俺ら side葉山
「なぁ、星野見なかったか?」
異変が起こったのは夏休み恒例である部活の合宿二日目の夜。
俺は運動部で、他県の高校を使わせてもらいながらそこの生徒と合同合宿をしている真っ最中だった。
教室に布団を引き、寝ようかと考えていた俺は部長である黒井の問いに首を傾げた。
「いや、見てねぇけど」
「ふーん、そうか……」
黒井の反応を見れば何かがあったことは一目瞭然だ。
俺は最後に星野をいつ見たか記憶を探るが、なかなか思い出せない。
星野は一つ下の後輩だ。
皮肉屋だが、真面目で弟気質な可愛い後輩だと思う。
「星野がどうかしたのか?探してんだろ?」
このままなのもモヤモヤするので聞いてみれば、黒井は困ったように肩を竦めた。
「アイツ、さっきから見当たらないんだよ。廊下にアイツのバックについてた御守りがボロボロになって落っこちてたから折角拾ってやったのに」
星野。ボロボロの御守り。
その単語並びに俺は何となく嫌な予感がした。
俺は所謂、霊感持ちというやつだ。
物心ついた時からいろいろなものが視えた。
そして、それと同時に怪異───つまりは人ならざるものを引き付ける性質も持っている。
分かりやすく言えば、「ホイホイ」というやつだ。
そんな「怪異ホイホイ」な俺はこれまでそれなりに危険な目に遭ってきたわけで。
星野と初めて会った時から「あー、コイツ俺と同じ体質だ」と思っていた。
そんな星野が、行方不明。
しかも、御守りという俺たちホイホイの心強い味方がボロボロにされたときた。
これは何も起きていないと考える方が無理だ。
(まあ、コイツには視えてないだろうし、何言っても無駄だろうけど)
黒井を一瞥し、俺は寝るのをやめて廊下に出る。
「黒井、それ落ちてたのどこだ?」
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