卒業間近の自転車

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ぐうぐう、と突然、お腹が鳴った。私のお腹が。春田が振り返る。 「なんだよ盛大だよな」 「だって朝ごはん食べなかったから」 ゲラゲラと笑う春田を睨みつける。そんなの春田のせいだ。 「誰のせいだと思ってんの。春田が、春田があの電車に乗ってるからその電車とあの高架橋で合わせるために早く家を出なくちゃいけなくて、でも電車に遅延してせっかく必死に歩いて願掛けしたのに」 「なんの願掛け?」 「春田に告白するのに願掛け。あ!!」 「いつもあの高架橋で自転車漕いでんの見てた。やっぱり合わせてたんだ。ふうん、願掛け、ね」 くくく、と笑う春田。春田に気持ちがばれてしまった。顔が熱くなる。ムカついたから私はポケットから取り出して包装紙をバリバリに破いて、チョコを食べた。 「おい! それ、俺のじゃないの?」 白く輝く昇降口が突然暗くなった。それと同時に唇にはほんのりとしたぬくもり。 「ちょっとだけ味わえた。ありがと」 「あ、うん」 「それから、俺たち付き合う?」 「あ、うん」 春田はまたケタケタと笑った。 *-*-*-*-* (おわり)
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