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凍みはすでに結構解けていたが、それでもぼくの体重ならまだなんとかなりそうだった。だけど念のため、カンジキを持っていくことにする。そのままぼくはかすかな足跡をたどって由希姉と走ったコースを戻っていった。
「……!」
それを見つけたとき、ぼくは心臓が凍りついたかと思った。
少しくぼんだ雪面の上に、由希姉のアノラックが広がっていたのだ。
「由希姉!」
由希姉がこんなところでアノラックを脱ぐなんてことはありえない。一体何が起こったのか。ぼくはダッシュで駆け寄る。
「うそ……」
アノラックのそばで、手袋をした由希姉の両手だけが、雪の上に生えているように見えた。思わず駆け寄ろうとして、すんでのところで思いとどまる。
ここは、小さな川があるところ。だから少しくぼんでいる。そして……
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