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11 〜綴〜 抱きしめてしまいたい衝動は封印。 動けなくなる俺に、行くだろ?と促すのはおまえの役割。他の誰でもない。そう、ずーっと井波に委ねてる。 俺はタバコを一本吸うと、井波の家を出た。 「何しに来たんだよ」なんて笑いながら見送りは断り、車に乗りこんだ。 雨はすっかり上がり、空にはちらほらと星が見えた。 帰って歌詞を書こう。 アイツを想って…想って…想って。 ♪ 月冴ゆる音に君を求めても 声冴ゆる夢に愛はないままで Ah この血潮に君が流れるのを知っている A h メリーゴーランド 廻れば溶ける愛 ほのめかす 幻想の恋物語 ♪ 自宅のベッドで大学ノートを顔に被る。 井波を想って書く詞は、時に自分の首を絞め、跳ね返り現象が起こる。 想いを再認識するのは、意外と辛かったりするようで、俺はその欲望を纏わりついてくる女で誤魔化した。 もうすぐ、暑い夏。 ムッとする空気に混ざって、月が昇る。 井波と東京へ出て、NOT-FOUNDは走り出す。 窓際に立ち、タバコに火をつけると煙を吐き出した。 「あぁ〜…セックスしてぇ…」 独り言に思わず吹き出す。 「誰とだよ……」 目を伏せたら、瞼の裏で、井波が俺を 手招いた。
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