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22 〜綴〜 先住民を退治した井波は眠いと帰って行き、昨夜は凪野と舟木で安酒を煽った。 二人はいつの間にかへばってしまい、気づいたら一人で喋って、返事がない事に気付いて酒盛りは終了。 窓から見える井波の部屋の明かりがついていないのを見て、もう寝ちゃったんだなとほんの少し寂しくなった。 先住民は一匹いたらもっと沢山いると聞いた事がある。それが本当ならただの悲劇ではあるけれど、また井波の家に泊まれる理由になると考えると、中々稀にみるポジティブさだと笑みが溢れた。 二人が潰れてしまう前に、凪野が大事な事を話していた。 一枚しかない掛け布団を何とか二人に掛け、グラスを片付けながらその話を思い出す。 「東京のライブハウスにつてがあるって、Cosmosの笹野さんが!箱はちっさいんだけどね、結構人気高いって。そこ出てみようよ!」 凪野は持って来た話を嬉しそうに披露する。 俺は首を傾げる。 「ちっさいってどれくらい?」 俺が凪野のグラスにウイスキーをダバダバ注ぐと、「わぁっ!もう飲めないよっ」なんてグラススレスレのウイスキーに口をつけ、ズズッと啜った。それから、「ねぇ!出ようよ!」といつもの無邪気さ全開だ。 舟木はウンウンと隣で頷いている。 「よぉ〜し!じゃ、出るか!」 俺はグラスを二人に突き出す。 カンと音が鳴り、一気した後、二人からの返事がポツポツと途切れだし、やがて途絶えた。 ライブ…早くやりたいな。 そしたら… そしたら井波に… 邪な気持ちが抑えきれない。 こんなじゃダメだとキツく目を閉じては、自分の唇を指先でなぞった。 何度か触れた井波の頰を思い出して。
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