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5 〜宝〜 如月の親父さんが亡くなったと、何故か凪野から知った。田舎だから情報が早いのか、凪野がそういうのに敏感なのか…如月から直接聞いたのか…。 何となく複雑な心境のまま、如月が父親を嫌悪していた事実を知る俺は、何て声をかけるべきか、考えあぐねていた。 直接聞いたわけじゃないから尚更だ。 大丈夫か?が正しいのか? いや、普通、親が死んだら大丈夫じゃない。 今日が休みで良かった。 こんな調子で寿司とか握ってられない。 俺はソワソワしながら携帯の画面を開いたり閉じたりしていた。 そこに着信が来て、体の線が全部伸びたんじゃないかと思うくらい縦に固まった。 「如月じゃん…はい」 電話に出ると、かけてきた相手は黙っている。 「如月?」 「…会いたい」 澄んだ声が、ほんの少しビブラート。 俺は肩に入っていた力を抜く。 「そういうの好きな女に言えよ」 「…ハハ…そうだけど…会いたい」 俺の心臓は簡単に揺れる。 会いたいのは、多分おまえだけじゃない。 「今日、バイト休み。…家、来なよ」 「うん…行く」 電話はそれ以上何も話さずに切れた。 外はちょっと雨が降り出していて、如月が濡れないか心配になった。
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