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7 〜宝〜 完全にテンパった。 如月が過剰なコミュニケーションで近づいてくるからいけない。そんな距離感でバンドを辞めるなんて言うからだ。 気づいたら舌まで突っ込んでキスしていた。 引き止めたい気持ちと、離れるのが嫌な気持ちが一瞬にして絡まって思考回路が停止したんだ。 怒鳴りながら何を否定したのか覚えていない。 ただ、嫌だと繰り返したんだろう。 如月は呆気に取られた顔をして、それから、小さな子供を見るように苦笑いした。 「…ちょっと、考えさせて。家の事…あるし、俺だけのわがままじゃどうにもならない」 冷静に諭され、俺は小さな溜息を吐いた。気持ちを落ち着かせる為に精一杯慎重に。 「…真面目かよ…ヤンキーのくせに」 チラッと如月と目を合わす。 如月は困った顔でその顔を傾け「元ヤンな」と呟いた。 少し時間が経てば冷静にもなるもんで、今更になって俺はさっきの行動を後悔し始めた。 何で舌まで入れたんだ… バカなのか俺… 俺の隣に座った如月は何もなかったみたいにタバコに火をつけた。 長い指に挟まれたタバコが如月の唇に向かう度に目を逸らした。 「ねぇ」 「何?」 如月はニッコリ笑って髪を掻き上げた。 「さっきの…ファーストキスだった?」 如月の問いかけに、カァッと血が昇った。 「だっ!だったらなんっだよ!!」 って何を正直にっ!! そしたら如月が、引き寄せた膝に頬を寝かせ幸せそうに呟いた。 「だったら嬉しいなって」 穏やかな如月の笑顔。 俺は怒るのもバカバカしくなって、大袈裟に肩を竦めてみせた。
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