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〜宝〜
酒が抜けたわけじゃない。
今なら…少し気持ちに正直になれる。
生き物としての性的な欲求が、アルコールのせいでみなぎってしまい、俺は…俺は我慢出来なくなっていた。
ゴロンと身体を如月に傾けると、彼の鋭い目だけがこちらに向いた。
肩に額を当てて、ゆっくり腕を伸ばす。
「ぃ…なみ」
大の字になった如月の腹に手のひらを置き、静かに下半身をなぞる。
如月の身体がピクンと小さく波打つ。
「ちょ…ねぇ…」
何度か撫でていると、次第に固く盛り上がってくる。
俺は額を押し当てていた如月の腕にキスをした。それから、撫でていたズボンの盛り上がりをやんわりと掴んだ。
「井波…何して…」
熱い吐息混じりに潤んだ目が呟いた。
俺は上半身を起こして、見下げるように呟いた。
「悪戯…だろ?」
如月は大きな手のひらで自分の顔を覆った。
それからクスクスと肩を揺らしながら笑い出して、俺の下半身を悪戯する手首をギュッと握り、顔に置いた手の指を広げると、その隙間から俺を見て言った。
「ヤバい…震えちゃう」
「奇遇だな…俺も」
他人のナニを握ったりした事なんか一度もない。
しかも勃起したモノなんて、目の当たりにするのだって不思議な気持ちだ。
「…抜きあいっこ…しよっか」
如月がゆっくり身体を起こした。
「…いいよ」
俺は俯き気味に答えた。
座ったまま向き合う。腰を引き寄せられ、足が絡まるように交差する。
お互いに相手のベルトを緩める手は、少し震えていた。
前が開くと、如月は額を合わせて、優しく囁く。
「夢だったら…どうしよう」
お互いの盛った熱は、布越しでは想像できなかった熱を帯びて、酷く熱い。
如月の長い指が、大きな手が、絡まって軽く上下に扱かれる。
ゾクゾクッと背筋を快楽が這っていく。
それなのに、如月の手はすぐに俺から離れた。
目の前の如月を上目遣いに見つめると、彼は赤い舌で自分の手をベロリと舐め上げた。
その唾液を纏った手のひらが、ヒタッと熱に絡む。
乾いた手でも十分な快楽が走った俺の身体は、あまりの気持ち良さに身体が大きく跳ねた。
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