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78 〜宝〜 打ち上げもそこそこに、俺たちはサワキタさんが用意してくれた別のホテルに入った。 部屋割りは固定。 俺と如月は同室だ。 酒が入ると、下半身が緩くなるのか、フワフワする俺はよく喋る。普段蓋をしたままの色々な思いが、玩具箱をひっくり返したように散らばる。 「如月ぃ…」 「井波、大丈夫?」 「ぜんっぜん大丈夫!問題あるよ〜に見えるか?」 「あんまり大丈夫そうには見えないな」 「如月はさぁ〜、どーして、そう全く変わらないわけ?飲んでんだろ?もーさー、機械じゃん!こ〜、肘だけ稼働して?ガシャンガシャンみたいな?ジョッキを上下させるだけ!永遠に!」 ベッドに大の字で身体を投げた。 「井波は楽しそうだな。飲んだらほんっと、あの無口で寡黙な青年は何処に行ったんだって思う」 「ここに居るじゃん」 顔だけ隣のベッドに腰掛ける如月に向ける。 如月が立ち上がって、ギシッとベッドに上がってくる。 大の字で寝転がる俺の上に手をついて見下ろしてくる。 「ここに…居る?」 如月の呟きは、どうしてこんなに寂しそうなんだろう。 「居るって…言ってるじゃん」 長い黒髪がサラサラと頰を掠める。 俺はそれを引っ掴む。グイと引き寄せると、驚いた顔の如月が鼻先の触れ合う距離で目をパチパチさせる。それから、苦笑いして言った。 「井波は俺の髪をロープか何かだと思ってんだろ」 「もし、そうだったら、このロープは誰にも見つからない場所に繋いだって良いんだぜ」 俺の返した言葉に、如月はまた目を見開いて驚いたような顔をしてから、ゆっくり目を細めた。 愛おしそうに俺を見下ろすその目が好きだ。 「繋いでくれないの?…また悪さされるよ」 如月は俺の額にキスをしながら、下半身を撫でた。 「…如月…」 「井波…好きだよ…」 如月が、パンツのファスナーを下げる。脱がしやすいようにゆっくり腰を浮かせた。 「エロいなぁ…」 「好きなんだろ」 「たまんないね…」 キツく抱きしめられて、少し苦しい。 互いの熱を愛撫し合う。 口づけを交わしながら、息が上がる。 如月の快感を逃して我慢する表情が堪らなくエッチだ。 「っ…っはぁ……ぁっ…」 甘い喘ぎは、どちらからともなく溢れでる。 片方のベッドは汚れていく。 軋んで、よれて、濡れていく。 もう、俺達は元に戻れない。
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