休みが晴れなのは(独り)

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休みが晴れなのは(独り)

僕が勤める鍼灸院には、月に1度親睦を深める行事がある。一応自由参加ということにはなっているけれど、院を丸ごと臨時休診にして開催されるし、無言の圧を感じて誰も休まない。 今回は持ち込み式のバーベキューだったし、僕も含めてみんな希望して参加した。 けれど、普段休みの曜日と重なったから、僕は逆に休日出勤のようになってしまった。もちろん代休なんてない。 『休みの曜日だから、雨で中止になったりしないかな』と、先週彼女さんに聞いてみたら、 『彼くんが仕事だったら降らないよ』と即答された。 まあ、ショッピングモールの屋上にあるバーベキュー場だから、雨でも問題なくやるとは僕も思ったけれど。 彼女さんの言うとおり、カラッと音がしそうな快晴の空のもと、今月の親睦会は滞りなく開催されて進み、お開きになった。 昼に始めたから、仕事の日よりも早くに解散。僕は全く通知のないスマホを改めて確認したが、解除し忘れている、企業の新商品のお知らせ以外は何のメッセージも無かった。 ホッとするような、寂しいような。 これまで付き合ってきた彼女達は、『メッセージは1日に3通以上欲しい』とか『本当に仕事なの? 写真送って』とか、割と関わってほしい女の子ばかりだった。 その点、彼女さんは逆にその辺りを全く求めてこない。なんなら、僕から送らない限り、家に来る昼間に、 『あと5分で着きます』 と届くだけ。彼女さんからのメッセージの履歴は、ほとんど同じこの文字ばかり並んでいる。1週間に1度、それだけ。 彼女さんに告白されて付き合ったから、それなりに僕を好きだったはずだけれど、今もその気持ちはあるのかな…と時々思う。 〈今帰り道。 家に着いたら電話して良い?〉 電車の中で手すりにもたれ、送信してみる。 少し間が空いて、既読の文字がついて、また少し間があって、 〈せっかく早く帰れるんだから、 好きなことして気分転換したら良いよ〉 と、何となくだけど、判っていたような雰囲気の言葉が返ってきた。少しもやっとしながら、僕は当たり障りないスタンプを送ってスマホをポケットにしまった。 なんだろう、この気分。 窓から見た久しぶりの夕焼けが、キレイに見えなかった。
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