もっと教えて?

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「ヤベぇな、その緩んだツラ」  玄関を開けた瞬間に兄貴に言われて、顔が引き攣った。  だって、今まさに俺の目の前で靴を脱ごうとしているのは聖夜くん。  パッと振り返った聖夜くんは俺を見て片眉を動かした。そして、 「バーカ!何て顔してんだよ!」  俺の両頬を摘んで横に伸ばしてくる。 「……うまくいったか?」  聞かれてとりあえず頷くと、聖夜くんは笑って手を離した。 「よっし!飲むぞ!」 「は?」  肩を組まれて声が裏返る。 「新年じゃん!あとはお前らの恋愛成就と俺の激励会?」  ニッと歯を見せられて何となく胸が苦しい。だが、 「おい!んな顔すんな!俺は俺でちゃんと告ってキリつけてんだから後悔してねぇよ!」  聖夜くんは笑って部屋へと促してきた。 「でも……」 「静香ちゃん、泣かせんなよ!」  パッと変わった真剣な顔で拳を肩にぶつけられて頷く。 「お前だから引き下がるんだ。もうグダグダ言ってないでちゃんと……」 「大丈夫!ガチで好きだって今日もう何回も実感したから」  それだけはハッキリ聖夜くんを見て言うと、聖夜くんはふっと表情を緩めた。 「恋愛興味ないとか言ってたくせに?」 「それは静香さんに教えてもらったから!」 「うーわっ、何だよ、そのエロい響き」 「違っ!!」 「よし!酒!!」  無理矢理リビングへと引き摺られながら聖夜くんの様子を窺う。 「悪いと思うなら絶対幸せになれ!」  ベッと舌を出す聖夜くんがめちゃくちゃカッコよく見えた。
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