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結局、毎日のように電話をして、時間が合えばちょっとでも会う。
自分でもバカップルだと飽きれるが、会いたくて、また離れがたかった。
静香さんの運転で来た今年の受験を迎える塾生たちの合格祈願。
それだって出かける口実に過ぎない。
「自分が恐い」
手を繋いで歩きながら呟くと、静香さんはくすくすと笑う。
「ね、俺、ウザくない?」
「私は想い伝わってきて嬉しい……かな?」
言いながらも少し照れくさそうなその様子はまた俺の気持ちをグンと上げた。
「うん、好き」
「ちょっ、もう……」
堂々と言ってしまうと、静香さんは顔を赤くする。
「今日はめっちゃ遠くまで来てんだからさすがに知り合いなんて居ないって!」
笑うとペシンと腕を軽く叩かれた。
「今日はキスしていい?」
聞いてみると、静香さんはチラッとこっちを見てフルフルと首を横に振る。
こうやって静香さんがめちゃくちゃ照れて、俺たちはまだキスもしていない。
まぁ、聞くとそんな反応するのはもうわかったし、聞かずにそのまますればいいんだろうけど……この反応がクセになっているのも事実だ。
「ね!今度兄貴たちと出かける時はどーする?」
「どうするって?」
「何か今までどうしてたかもわかんなくてさ……手は繋いだらダメ?」
腰を抱き寄せると静香さんはこっちを向いて眉を寄せながら困ったような顔をする。
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