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「あー、ヤベ……かわいい」
手を繋いで再び歩きながら呟くと、パシンと腕を叩かれる。
「まだ照れてんの?イロイロ教えてくれるんでしょ?」
ニッと笑うと、
「……バカ」
静香さんはそっぽを向いてしまった。
その赤い耳に触れるとピクッと跳ねて静香さんが耳を手で隠してしまう。
「次は何を教えてくれる?」
「っ!!もー必要ないでしょっ!!」
その手を退けて近づくと、静香さんはワタワタとし始めた。
こんなかわいい反応をされてどうしたらいいのか。
「っとに……どんだけ好きにさせんの?」
その肩に額を付けると、静香さんは少しためらってからそっと俺の背中に手を回してくれる。そして、
「……どれだけでもなればいいでしょ?」
ぽそっと零された言葉に身悶えた。
美人で何でもできる俺とは異次元のような完璧な人……に見えたのにこんなにもかわいくて、自分がするより他人の恋愛を見ていたかった俺を夢中にさせる困った人。
静香さんのお陰で始まった……これが俺たちの“恋愛”だ。
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