要らないだろ?

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「三対三!声出してシュート意識していけよ!」  流星の声が体育館に響き渡って俺らも声をあげた。  基本、練習メニューは昼休みに澤田先生と流星で話して決められていて、練習は流星の指示で進む。  パス出しとか軽いディフェンスなら流星も入るが本気でプレーすることはない。  中学の頃は身長もプレーでもいつも流星に負けていて俺はいつだって流星の控えだったのだが、流星はずっと俺の憧れだった。  あの事故がなかったら……流星がバスケから離れて俺がスタメンになっても嬉しいどころかそれが悔しくて仕方なかった。  何度もバスケに誘い、中学でもとりあえずマネとしてバスケ部に居てくれた流星。  高校でも誘い続けて去年五月になってやっとマネとして入部してくれた時は喜び過ぎてぶん殴られた。  高校では先輩たちのポジションの関係で俺は中学までやってきたC(センター)から替えのメンバーが居なかったPF(パワーフォワード)に変わったのだが、そういう戸惑いもフォローしてくれたのが流星だった。  あいつは本当にバスケをよくわかっていて、バスケ好き過ぎるバスケバカ!!  そこがあいつの凄いところだが……チラッと流星を見ると、もう身に付いてしまっているのか目線がもう半面でやっている女バスにいっている。  その視線をやった場所はこの春に卒業した女バスマネの先輩、キク先輩がいつもいた場所だ。  彼女になってほぼ毎日会っているくせに……まだ姿を追う必要があるのだろうか?
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