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「……え?」
流星が言いたかったのはきっとこういうことなんだろう。
いつも聖夜くんと比べてガキな自分に落ち込んで、でも、クリスマスに見たあの男には取られたくなくて……静香さんのことばかり考えてしまうのも、ずっと会いたかったのも全部……。
俺はとっくに静香さんのことが“好き”だったんだ。
「好きだよ」
もう一度言うと、静香さんの眉が寄る。
睫毛の長い綺麗な目には一気に涙が浮かんで、俺は指の背でそれを拭った。
「とっくに静香さんと“恋愛”してたから」
笑うと、静香さんはギュッと抱き着いてくる。
「本当に?」
俺の肩口に顔を埋めたせいでくぐもったその声。
いつもとは違う余裕のない感じもかわいくてキュンとしてしまった。
「うん。今すぐキスしたいくらいに」
「そ、それはダメっ!!この公園、実は周りから色々丸見えだからね!」
耳元で言うと、慌てて顔を上げた静香さん。
「へぇ……これはいいの?」
俺の腰にある静香さんの手を押さえて離れないようにすると、静香さんは顔を赤くした。
「っ……意地悪」
このかわいい反応はヤバいかもしれない。
クセになりそうだ。
「うん。静香さんの反応がかわいくて、つい?」
押えていた手を離してその背中と腰を抱き寄せる。
「……バカ」
消え入りそうな声で言って照れる姿もグンと俺の気持ちを上げてくれて、これが“愛おしい”だとヒシヒシと感じた。
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