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「付き合って?」
「うん」
抱き寄せたまま言うと、静香さんはしっかり俺の背中に手を回した。
「俺にもっと“恋愛”教えてね?」
顔を見たくてその頬に手を添えると、
「教える必要ある?」
こっちを見上げて静香さんは少し首を傾げる。
その姿もまたかわいくてヤバい。
自覚して告っただけ。
これまでの関係から“彼女”になっただけなんだが……そんなに違うもんだろうか?
もうかわいさに耐えられない気がした。
「あるでしょ?」
「私もそんなに経験多いわけじゃないけど?」
顔を近づいていくと、キスは塞ぐように手の平を見せてきた静香さん。
「ふーん……なら、一緒にもっと知ってこっか?」
チュッとそこにキスをすると静香さんの顔はまた赤くなった。
「知ってる?手の平にするキスの意味」
いい反応過ぎて……暴走しそうになるのを堪らえて腕の中から解放しつつ手を繋ぐ。
「え?」
「……“懇願”……“俺を受け入れて”ってこと」
「何かやらしい……」
「えー?それは何考えたの?てか、手の平向けてきたのは静香さんだからね?」
こんなにも身構えたり反応も気にせず、素のままで一緒に居られる人。
ちょっと頬を膨らませて体をぶつけてくる静香さんがやっぱりかわいくて……
「……ヤバいな」
「何が?」
「いや、こっちの話」
バカップルまっしぐらになる気がする。
まさかの“恋愛”なんて興味なかった俺が……
「静香さん」
手を繋いで歩きながら呼んで、こっちを向いたその姿に誓う。
「もう悲しませないから……笑っててね」
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