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「私がいる間、雪が散らつくこともなく思ったより暖かくて、2月とは思えなかったわ。昔のようなドカ雪とかなくて今の状況ではいいのかも」
「実家も屋根やられているから雪が降らなくてよかった」
「屋根?」
「兄ちゃんが大屋根の棟がずれてる、って言ってた」
「そうなんだ」
「空き家同然やもんで、兄ちゃん、ブルーシートは住んでる人が先だから、って言ってた。そのままねんて」
実家は去年父が死んで空き家となっていて、妹が月二回風通しに、兄が月一来て、数日泊まって、帰っていく。
「誰も住んでないから仕方ないよ。家の中はどうだったんだろ?」
「聞かなかった」
「義実家の家は?」
「古いからどうかなと思ったんだけど、壁に結構大きなヒビが入ってたり塗り壁がところどころ落ちたりしてるげんて。けど、今すぐ、ってことではないみたいな……」
彼女の夫の実家も両親共に亡くなり、空き家となっていた。
「まあ、住んでないから、いいか、って言うと怒られるね」
「いずれは壊さなきゃならないかも、の家ねんけど」
「それを言うと……実家もじゃ?」
築五十年以上の日本家屋である実家も塗り壁がはがれ落ち、食器棚から器類が床に落ち割れて散り、どこも足の踏み場がなかった。掃除しないと歩けなかったと、あとで兄から聞いた。
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