復讐の相棒は、成仏できない幽霊夫です。

25/68
前へ
/68ページ
次へ
『相談したいことがあります』 桜志郎のスマホに、香帆からのLINNが届いた。 (今さら何の用だ?) 三千万円を受け取ってから数日が過ぎた。 まさか「やっぱり警察に自首します」とか? そうなると『殺人教唆(さつじんきょうさ)』か『殺人幇助(さつじんほうじょ)』の疑いが桜志郎に掛かる。 『殺人教唆』は殺人を犯すように(そそのか)すこと、『殺人幇助』は殺人を手伝うことで、どちらも罪になる。 下手に関わったら面倒だ。桜志郎は連絡を無視した。 1時間後、また香帆から連絡が入った。 『アレを1億円で売って下さい』 (アレ? あの毒薬のことか?) (しかも、1億!?) 本気か? そんな金があるのか? 誰を殺したい? 桜志郎はスマホの画面を見つめて考えた。 まぁ、とりあえず……、 『会って話しましょう』と返信した。 「よし! キタ!!」 桜志郎からの返信を見た香帆は、ポンと手を打った。 スマホを覗き込んだ颯真は、心配そうだ。 「大丈夫か? 付いてくで」 「いいよ。アイツにも颯真が見えるんでしょ。騒ぎになるじゃない」 「そやなぁ……。まぁ、向こうから見えんとこに()るわ」 次の日、香帆は桜志郎をファミリー・レストランに呼び出した。 颯真の生命保険金三千万円を渡した店だ。 香帆と桜志郎は、テーブルを挟んで向かい合って座った。 「あの薬を1億円で売って」 「なぜ?」 「次は伯母を殺したいの。一人殺しても、二人殺しても同じだし」
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加