復讐の相棒は、成仏できない幽霊夫です。

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2日後、香帆は仕事に復帰した。 20日間も休んで職場に迷惑を掛けたが、美緒は優しく迎えてくれた。 颯真はこの営業所にいたから、みんなが彼を知ってる。 まさか突然死ぬなんて、誰も思っていなかった。 他のスタッフやドライバーも、暖かく香帆に接してくれた。 「忘れてることもあるし。受付するの恐いな」 「大丈夫よ。すぐ元通りになるって」 イレギュラーな対応は美緒に任せて、香帆は基本の仕事から始めた。 新入社員に戻った気分だ。 二人きりになると、美緒は〈あの話〉を始めた。 「保険金も入ったし、一安心ね」 「あ……」 香帆は話題にしたくなかった。一番避けたい話だ。 サッと返事ができない。 「どうしたの? 嫌なことでもあった?」 「ま、まさか。美緒のお陰で保険会社に請求できたし。感謝してる」 「よかったね」 美緒はフッと笑った。 (え????) (あれ? なんだろ?) 香帆は違和感を覚えた。 いまの笑い。感じ。なんか、いつもと違うような……? (いや、考え過ぎか) 「感謝してる」「よかったね(笑)」 すごく普通で当然な会話だ。何を気にしてるんだろ。 (この20日間でイロイロあり過ぎて、感覚が変になってる) その日から3日ほどは平穏無事だった。仕事も完全復活した。 だが5日目に、桜志郎から電話が入った。 「千代さんと結婚します」
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