復讐の相棒は、成仏できない幽霊夫です。

3/44
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
香帆の夫の颯真は大阪市浪速区出身で、高校卒業後に18歳で上京した。 工場や飲食店など何度か転職した後、25歳から宅配便の正社員ドライバー になった。 現在32歳。身長178cmの細マッチョでスタイルがいい。 重い荷物を運べるように、筋力トレーニングで身体を鍛えている。 高校までバレーボールをしていたので運動神経もいい。 どちらかというと「イケメン」の方だ。子供の頃からモテたし、バレンタインのチョコレートも、クラスで一番多かった。 東京に14年住んでいるが、摂津言葉(俗にいう大阪弁)で話す。 明るくて社交的、女性に優しいので、顧客にも職場でも人気者だ。 颯真が不倫相手と出会ったのは、仕事中だった。 「よし、到着!」 颯真は、中層マンションの駐車場に配送車を停めた。 〈午前中 指定〉最後の荷物だから、これを届けたら『昼休み』。 妻の香帆が作ってくれた弁当が楽しみだ。 香帆は颯真の健康を考えて、毎日おいしい弁当を作ってくれる。 (宅配便ドライバーは身体を使うから、しっかり食べてほしい) そんな思いで作る香帆の弁当は、味もボリュームもバランスも万全だ。 「こんにちは。宅配便です!」 4階に住む箕島梨那(みのしまりな)は、最近この部屋に引越ししてきた。 25歳のネイリストで、コスメやサプリを届けることが多い。 ダイナマイトボディに派手目のメイク。 美人ではないがドキッとするほどセクシーで、艶っぽい目で颯真を見る。 (俺に気があんの?)と思うほどだ。 「お疲れさま。いつもありがとう。コレどうぞ」 玄関で、梨那が缶コーヒーを差し出した。 宅配便ドライバーを労ってドリンクや菓子をくれる人は、たまにいる。 礼を言って受取ろうとした颯真の手を、梨那が握って自分に引き寄せた。 (え、やっぱり?) 魔力に吸い寄せられるように、颯真は梨那と唇を重ねた。 セクシーで淫らな梨那に、颯真は瞬殺された。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!