ジャスティン

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ジャスティン

「いえ、それが……」  側近の星優真(ホシゆうま)躊躇(ためら)いがちに応じた。 『我が精鋭部隊の怪人1号と2号だ。ジャスティンなどモノの数ではないだろう。グワァッカッカカカッ』  悪の黒幕(フィクサー)は高らかに笑った。だがすっかり対戦は済んでいた。 「おいおい、お義父(とう)さん。まさか、精鋭部隊って、これでお(しま)いなのか?」  ジャスティンはまったく無傷だ。笑顔で軽く手をパンパンと(はた)きながら訊いた。 『な、なにィ……?』   首領が見ると怪人たちや戦闘員はボロボロになって床に転がっていた。 「うッぐぐゥッ」  怪人たちもうめき声を上げダウンしていた。すでに戦意喪失みたいだ。  ジャスティンは余裕の表情で怪人たちを退治していた。 『なッなんじゃァこりゃァ。ポチ?』  首領ベガは目をゴシゴシとこすって見直した。だが何度見ても代わり映えしない。怪人たちは見るも無惨な有り様だ。 「いえ、星ですが……。ベガ閣下」 『うるさい。それよりもどういうことだ。我が精鋭部隊はどうしたと言うんだァ?』  首領は信じられない様子だ。 「ハイ、それが。正義の味方ジャスティンにことごとく倒されまして」 『はァ、ことごとく倒されただってェ?』  呆れて聞き返した。 「ハ、ハイ……」部下の星も躊躇いがちにうなずいた。 「おいおい精鋭部隊って、こいつらちょっと弱すぎるよ。もう少し手応えがないと準備運動にもならないぜェ」  ジャスティンは余裕の笑みを浮かべた。 『ぬううゥ……、なんだとォ。他の怪人たちはどうしたんだ』  首領ベガは側近の星優真に訊いた。  「いえ、それがまだ用意ができていません」  星優真は済まなそうに頭を下げた。 「フフゥン、もうジジィ。観念して引き上げれば」  愛娘のアンジェラはアイスクリームを食べながら(あざけ)るように笑った。 『う、うるさい。ならば我輩が直々(じきじき)に最終形態に変身してくれようか……』 「お待ちください。奥方様とのお約束は如何(いかが)なさいますか」  部下の星が忠言した。 『ぬううゥッ、ハニーかァ?』
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