隣のあなた

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 とうとう彼がこの学校にいる最後の日だった。今日は、中間試験だから、本来なら、もっと早く帰れるはずだった。それでも、担任の先生が転校する彼のために、ホームルームの時間をつくってくれた。この時間の要望を出したの、彼ではないと私は思っている。それでも、私もこの時間があるのが嬉しかった。また、彼と隣の席になれることが嬉しかった。この時間がいつまでも、続いてほしいと思った。  けれど、その時間は、長くは続かなかった。転校してしまう彼はすぐに教卓のところへ呼び出されてしまった。彼は、そこでこのクラスの全員に向けて感謝の言葉を告げた。私は、その言葉が自分に言われたような気がしてとても心に響くものだった。彼は、クラスの女の子たちからいくつかのプレゼントをもらっていた。けれど、どう考えても五千円くらいのものにしか見えなかった。プレゼント金額としては、それでちょうどいいのかもしれないけれど、なんだか騙された気がした。もしかしたら、私のことが納得しかなくて、私だけが500円で他の人は、100円くらいだったのかもしれない。それなら、別にそれで良かった。ただ、なんか納得しない気持ちもあった。彼は、色紙をもらっていたけれど、私はその存在をこの瞬間まで知らなかった。それもなんだか悔しかった。  彼が隣の席に戻ると、私に一枚のメモを渡してきた。  「今日、よかったら、一緒に帰らない。ただ、僕は職員室に用があるから待たせてしまうけど。」  私は、彼にいいよとハンドサインで伝えた。  私は、彼と個人的に話す機会があるからとさっきまでも嫌な気持ちもなくなっていった。
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