後輩

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 私は、今日もいつも通り、早めに登校した。そしていつもようにほとんど人の乗らない電車。私は、その車窓から、大好きな景色を眺めた。もしこの景色を誰かと一緒に眺めることが出来たらなと夢見てしまう。私には、叶わないはずなのに、ドラマの中では、物語の中では、恋人同士が肩を寄せ合って眺める景色のようだった。まだ、現実を知らなかった中学生の時は、当たり前のように彼氏と見るんだと盲目的に信じていた。けれど、一人で見るほうがより、この景色を目に焼き付けることができる。だから、これで良かった。私には、そうやって自分を言い聞かせるしかないと思っていた。  それからしばらくして、高校の最寄り駅に止まった。私は電車から降りるとゆっくりと階段まで歩いていた。ちょうど改札へと向かう階段のところへ来たちょうどその時、同じ高校の制服を着た男の子から声をかけられた。彼の制服は、新しくてとてもきれいだった。だから、新入生だとすぐにわかった。私は、男の子と話したことがなくて緊張してしまった。新入生で心ぼそいだろうし、同じ高校の後輩だし優しくしてあげたいと思う気持ちもあった。けれど、どうしても話しかけられたことに動揺してしまって逃げてしまった。心の中で謝りながら、走って階段を降りていった。
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