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私は、翌日彼が来たら、話しかけようと心に決めた。いつもは、窓を眺めているから、隣の席に来たらすぐにわかると思っていた。
それなのに、彼は来なかった。そしてチャイムが鳴り、担任の先生が入ってきてホームルームが始まった。その中で先生から隣の席の彼は欠席すると言われた。せっかく今日は話しかけようと決めていたのにそれが出来なくて、どうしていいのかわからなかった。
他のクラスメートは、転校してきたばかりの彼と連絡先を交換していたらしい。私とは、もう半年以上たつのに連絡先を聞かれたことがない。私は、今までそれで良かったはずなのに、かなしくなった。きっと私が休んだとしても彼のように連絡をもらったり、心配してもらえたりすることはないのではないかと思う。だから私は少し寂しかった。そして、ほんの少しだけ、彼に嫉妬した。
私は、彼がどうして休んだのか知らなかった。クラスメートが連絡をしていたらしいけれど、私は聞けるほど親しくなかった。それに知ったって仕方のないことだとも思う。それでも、私が昨日素っ気なくしてしまったことが原因のではないかと責任を感じた。
今日は金曜日だった。いつもだったら、もっと色々やりたいことがあった。それでも今日来なかった彼が気になってなにもする気になれなかった。彼は、私よりも友達だっていっぱいいるだろうし、必要ないのかもしれないけれど、何かしてあげないといけない気がした。それで、私は、今日の授業の内容を科目ごとにそれぞれ、A4の用紙にまとめることにした。まず、私のノートを片面に収まるように縮小してコピーした。その用紙の裏に、私は、自分なりに授業の内容をまとめることにした。明日は、図書館に行って彼のもっている教科書の内容を確認することにした。
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