隣のあなた

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 さっきの授業が終わり休み時間になった。  「さっきは、ありがとう。助けてくれて」  「お礼を言われるようなことは、してないよ。友達だから当然だよ」  「でも、あなたが来てくれなかったら、きっとさっきの授業出られなかったかもしれない」  「それだと、僕は教科書なくて困るから、探しに行ったよ」  「それじゃあ、まるで私のこと教科書だと思ってるの。まあ、それでもいいけどさ」  「ごめん。そんなつもりはなかったよ」  「そうなの」  本当は、彼はそんな風に考える人でないことくらい分かっていた。それでも、あえてとぼけたような口調で言った。  「本当は、教科書くらい買ったっていいと思うんだ。でも、僕は……」  「でもこれ全部買ってたら、相当な金額になちゃうよ。ごめん。なにか言いかけていたのに話しちゃって」  「いいよ。どうせ、大したことないから」 とつぶやいた彼の顔はなんだか悲しそうに見えた。  「ねえ、本当に私と友達でいいの」  「なに言ってるの。もう友達でしょ」  「でも、私と仲良くしてたら、せっかく仲良くなれたクラスの子とも仲良くできなくなちゃうかもよ」  「それで仲良くなくなるような人とは、僕も仲良くしたくないからさ。ここまで人のためを思って行動できる人を疎ましく思うなんておかしいよ」 と彼は、まぶしいほどの笑顔で言った。  私は、その言葉とても嬉しかった。ずっと心のどこかで言われたかった言葉のように思っていた。この言葉ほしくて言ったような質問だった。
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