隣のあなた

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 私たちは、ホームルームが終わると二人で職員室へ向かった。彼の用事が済むまで私は、職員室の前で待っていた。彼が職員室から出てくると、十三時を過ぎていた。  「ごめん。かなり待たせてしまって」  「いいよ。別に」  「ねえ、お昼食べて帰らない」  「いいよ。駅前のファミレスとかがいいかな。安いし」  「そうだね」  私たちは、駅前のファミレスに向かった。  私たちがファミレスに着くともう十四時となっていた。そのためなのか店内はとても空いていた。遅くなったからこそ、店内にクラスメートの姿がなくて安心した。それは、彼も同じだったようだった。  「傘、どっちが良い」 と言って二本の傘を見せた。  「私の傘と藍色の傘のこと」  「僕は、君と仲良くなった記念にこの水色の傘が欲しいけど、やっぱり返してもらいたいかな」  「いいよ。私は、どっちでも。その傘あげるって言ったでしょ。べつにお返しとかもいいの」  「じゃあ、これ持ってて、君の傘と色違いの傘買ってきたから、交換しない」  「うん。いいよ。大事にするね」 と言って藍色の傘を受け取った。  「あと、これメッセージかいてくれない。裏面いっぱいに書いてよ」  「いいよ」 と言うと色紙を受け取ってメッセージを書いた。  楽しい時間と言うものは、早く流れるものですぐに過ぎていってしまった。もっと長く続いてほしくても時間は過ぎ去ってしまった。  もう駅についていよいよお別れの時間となった。  「あのさ、よかったら、連絡先交換しない」 と彼が言った。  私は、それが嬉しかった。それでも恥ずかしくて交換しようと言えなかった。もし、私が顔を見られない状態で話すことで嫌われたくなかった。  「しないよ。勉強忙しくなるから、あんまりできないし。私は、SNSやっていないし」 と言った。  「そっか。じゃあ、またいつか」  「うん。さようなら」 と言うと私たちは、それぞれ階段を降りた。  私は、家に帰るもらった藍色の傘を机の隣にある棚の上に飾った。その傘を汚してしまったり、壊したくなかったからひらくことはしなかった。
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