隣のあなた

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 翌週、私が教室に入ると彼が使っていた椅子と机はなくなっていた。  最初は、早くなくなってほしいと思っていたはずなのに、今はなんだかそれが寂しかった。  私は、まだ今日も彼と話したいことがいっぱいあった。それでも今日はもう彼が来ることがない。今日だけじゃなくて、きっともうこの学校に来ることはない。もしかしたら、もう二度と会うことができないのかもしれない。  もう今は、ずっと遠くにいる君だから、街中で偶然会うことだってあり得ない。  私は、その余韻に浸る窓を眺めた。  ただ、すぐに左隣にいたはずの彼のことを思うと、なんだか窓の外を眺めているのでは、いけない気がした。  私は、そしてかばんの中から教科書を開くと今日の授業の予習を始めた。周りにどう思われようがどうでもよかった。もし勉強を頑張って第一志望の大学に進学できれば、彼と再会できるような気がした。だから、私は、そのために今はできることを頑張るしかないのだと自分に言い聞かせた。  彼は、きっと転校先でも他の人と仲良くなるだから、私のことなんて忘れてしまうかもしれない。  もしかしたら、あのとき連絡先を聞いておけばわかったのかもしれない。それでもやっぱり恥ずかしくて聞けなかった。  だから、私は失恋した。だから、私は次へ進まないといけない。  チャイムがなる寸前に教室に入ってくる右隣のあのヒトに、初めて目を合わせた。  「おはよう。もう少し早く来たらどう」  「おはよう。でもギリギリせめているのは、スリルがあっていいんだよ」 と隣のヒトが言うとすぐにチャイムがなった。  私は、なんだか思ったよりも怖い人ではなかったような気がした。 片恋~もし素直になれていたら~ 隣のあなた 終わり
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