後輩

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後輩

 高校生として、最後の春。私にも春が訪れた。一生忘れることのできない青い春。  昨日は、入学式があった。部活にも委員会にも所属していない私には関係ないことだった。私も一年生の時は、期待と希望を胸に入学式に出席していた。それでも今は、あと一年もしたら長かった高校生活から、解放されると思うと嬉しかった。もちろん、色々憧れていたのに何もなかったということに少し寂しさもあった。けれど、こうなってしまったのは、自分が消極的だったからだって理解していた。それに他人を羨んだって仕方ないことも分かっていた。だから、ただ諦めていただけだった。  みんなが友達や恋人と一緒に話しながら歩いていく中、一人で歩くのは、寂しかったから、人通りの少ない早いうちに登校すると決めている。一般的には通勤通学時間と言われているけれど、この時間に登校すると下り方面の高校までの電車は空いている。朝早く起きるのは大変だが、ゆっくり窓からみえる景色を楽しむのも良いし、本を読むのも、勉強するのにも良かった。私はこの時間が好きだった。そして一人で誰もいない坂道を登りながら、景色を眺めるのも好きだった。高校の門のところから見える景色を眺める。このきれいな景色を目にすることが、私が唯一高校に来て良かったと思えることだった。
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