第2話 デストロイヤー

5/9
前へ
/192ページ
次へ
 ……それから数日間、アメルでお世話になることになった。 「おや、スクーレちゃん、お友だちかい?その姿は……」 「あ……えっと……近所の……」 「やっべ、バレた!」  スクーレの近所のおばさんの言葉に、オレは身を翻した。  アメルにはまだ反悪魔派がいるから気をつけないと……。  ──う、うぅ……!!何もありませんように、何もありませんように……!!!  オレは目を瞑り、必死に頭の中で唱えた。 「悪魔だね?……でもスクーレちゃんが悪魔と仲良くしてるのはいいことだと思うよ」 「「え?」」  意外だった。まさかそんなことを考えている人がいるなんて。 「そこの悪魔、もうちょっと顔を見せておくれ」 「……どうしよ……」  オレは弱々しくスクーレに助けを求めた。 「大丈夫よ。レイン」  スクーレはニコッと笑う。  ま、まぁ、スクーレがそう言うなら……。 「ほう、レインというのかい。いい名前だね」 「……こ、こんにちは……」  オレはスクーレの後ろから顔を出した。  するとおばさんもニッコリと笑い、オレの頭を撫で回した。どこか……懐かしい感じがする。親戚なんて、とっくの昔に失ったのに。 「ははは、綺麗な金髪だねぇ。こんな優しそうな男の子が悪魔だなんて思えないよ」 「どうも……わわっ」  次に興味を持たれたのは、スクーレが昔くれた薄ピンクのマフラーだ。端の方に可愛らしいピンクのリボンが付いている。別にオレは男だけど取ろうとは思わない。 「それは昔スクーレちゃんが持ってたマフラーかい?もしかしてあげた悪魔ってレインくんのことだったのかい?」 「ひ、引っ張るなぁ!ぐえっ」 「そ、そうです」 「やっぱりねぇ!あら。おやおや……ごめんねぇ」 「うぐぐ……」  オレは涙目ながらにおばさんを見る。  悪気がないのはわかるけど……わかるけどぉ! 「さ、さっ!レイン!私の家はもうすぐよ。行きましょう」 「あら、スクーレちゃんの家に泊まるの?仲が良いのね。待ってて、それなら料理をおすそわけするわ」 「え、ちょ、話が────」  ──早すぎる!! 「レインくん、他に悪魔のお友達はいないの?」  友達と言えばリストとかムジナ、ヘラにカリビア、ヘッジがいるけど……。  リストは人間界に行っちゃったし、ムジナはヘッジと家にいる。ヘラはどこかわかんないし、カリビアは忙しいだろうし……うーん……。  ────ムジナ、かな。 「と、友達なら……いる……けど。一人、人間好きな悪魔が」
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加