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……それから数日間、アメルでお世話になることになった。
「おや、スクーレちゃん、お友だちかい?その姿は……」
「あ……えっと……近所の……」
「やっべ、バレた!」
スクーレの近所のおばさんの言葉に、オレは身を翻した。
アメルにはまだ反悪魔派がいるから気をつけないと……。
──う、うぅ……!!何もありませんように、何もありませんように……!!!
オレは目を瞑り、必死に頭の中で唱えた。
「悪魔だね?……でもスクーレちゃんが悪魔と仲良くしてるのはいいことだと思うよ」
「「え?」」
意外だった。まさかそんなことを考えている人がいるなんて。
「そこの悪魔、もうちょっと顔を見せておくれ」
「……どうしよ……」
オレは弱々しくスクーレに助けを求めた。
「大丈夫よ。レイン」
スクーレはニコッと笑う。
ま、まぁ、スクーレがそう言うなら……。
「ほう、レインというのかい。いい名前だね」
「……こ、こんにちは……」
オレはスクーレの後ろから顔を出した。
するとおばさんもニッコリと笑い、オレの頭を撫で回した。どこか……懐かしい感じがする。親戚なんて、とっくの昔に失ったのに。
「ははは、綺麗な金髪だねぇ。こんな優しそうな男の子が悪魔だなんて思えないよ」
「どうも……わわっ」
次に興味を持たれたのは、スクーレが昔くれた薄ピンクのマフラーだ。端の方に可愛らしいピンクのリボンが付いている。別にオレは男だけど取ろうとは思わない。
「それは昔スクーレちゃんが持ってたマフラーかい?もしかしてあげた悪魔ってレインくんのことだったのかい?」
「ひ、引っ張るなぁ!ぐえっ」
「そ、そうです」
「やっぱりねぇ!あら。おやおや……ごめんねぇ」
「うぐぐ……」
オレは涙目ながらにおばさんを見る。
悪気がないのはわかるけど……わかるけどぉ!
「さ、さっ!レイン!私の家はもうすぐよ。行きましょう」
「あら、スクーレちゃんの家に泊まるの?仲が良いのね。待ってて、それなら料理をおすそわけするわ」
「え、ちょ、話が────」
──早すぎる!!
「レインくん、他に悪魔のお友達はいないの?」
友達と言えばリストとかムジナ、ヘラにカリビア、ヘッジがいるけど……。
リストは人間界に行っちゃったし、ムジナはヘッジと家にいる。ヘラはどこかわかんないし、カリビアは忙しいだろうし……うーん……。
────ムジナ、かな。
「と、友達なら……いる……けど。一人、人間好きな悪魔が」
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