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「こんにちはー!」
「ムジナ!バルディさんもいらっしゃい」
スクーレがエプロンを外しながら出迎える。
ニコニコしながら手を振るムジナの後ろには、いつもの姿のバルディが控えていた。
「バルディも来たんだ」
「はい。最近物騒ですから。一人では行かせられない、と」
バルディは恭しく礼をし、眼鏡の角度を正しながら答えた。
「物騒?何かあったのか?」
オレはスクーレの後ろからバルディに問いかけた。
「えぇ。でも心配ありません。この問題は私たち大人が解決します」
「そ、そうなのか」
バルディの気迫に気圧される。
それほど危ないんだ……。それなのにオレってばのんきに寝てたんだな。
「それでは。私はスクーレさんたちのお手伝いをさせていただきます。お邪魔しますね」
バルディは再び一礼をし、キッチンに向かっていった。
「あはは、赤くてちっちゃくてかわいいね!」
声に反応し、テーブルの方を見てみると、ムジナが無邪気にプチトマトを見て喜んでいた。
……こいつはこいつで何をしているのだか。
オレは半分呆れながらムジナに話しかけた。
「それはプチトマトだ。こんなのもわからないのか?」
「うん!あまりこういうのは食べないからね」
ムジナはプチトマトのヘタを持ってクルクルと回しながら笑った。いや、笑い事じゃない。それ、野菜食べてないって言ってるのと同じだぞ。
「食物繊維もしっかり摂れよな。腹壊すぞ」
「あはは、忠告ありがとうね」
ムジナはにへらぁと笑う。
こいつ……完全に緩んでるな……。
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