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第3話 夜中に出歩く少女
──お兄ちゃんがいる予感がする……。
ワタシは自由に動かない体を無理矢理動かした。やればできる。それがポジティブというものだ。
そんな滅多に自分の意思を表に出さないワタシの行動に、腰にあるリボンたち……二体の『化け物さん』は、ケタケタと笑いだした。
「ははは、預言者じゃあるまいし!ホント面白いな!」
化け物さんは、私が考えていることを理解しているように笑い飛ばした。彼らのことはよくわからないけど、こんなに長く一緒にいるんだ、心だって読まれていてもおかしくない。……多分。
「はっ、それにしてもここは人間の町か?最近の魔王はゆるゆるだなぁ」
左右の化け物さんたちは笑い合う。
この二匹、喧嘩したり仲良くなったりと、とにかく忙しい。テンションについていけない。
「あ、あんなとこにドラゴン飛んでるぞ!すげーなー!」
「マジ?!どこどこ?!」
二体につられてワタシも空を見る。
確かにゆっくりだが空飛ぶドラゴンが見えた。
正確にはドラゴンのようなもの、だが。
「行っちゃったかぁ……。なぁ、早くぶっ壊しに行こうぜ!破壊が見たいんだ!」
「そうだそうだ!まずはこの町の人間を皆殺しだ!」
再び二体は笑い出す。
ワタシは心の中でため息をつき、町の中に入っていった。
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