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「こいつが『デストロイヤー』の兄貴か?ぎゃははっ!サニーより弱そうだな!」
「……兄貴?まーた冗談を……」
お兄ちゃん……レインお兄ちゃんは馬鹿にしたように笑う。
ワタシが手を差し出し、一歩進んだその時だった。
──ワタシの方に一つの石が飛んできた。
「悪魔め!妙な企みをしているんだろ!さっさと出ていけ!」
「……っ!いってぇな!どさくさに紛れてオレにまで石を投げんじゃねぇ!」
石と怒号はどんどん多くなっていく。
それは当然のようにお兄ちゃんにも当たっていた。
「やめて!やめてよ、みんな!レインは何も悪くないわ!」
ピンクの髪の人が手を広げて飛び出した。しかしそれを見た人間は、不満を爆発させた。
「スクーレちゃん、そいつらは悪魔だ!庇う理由なんて無いだろう!それとも何だ?スクーレちゃんも悪魔の味方か?そういえば悪魔を引き連れたのはスクーレちゃんだったよな!」
「きゃっ!?」
スクーレにも石は飛ぶ。
ワタシの片方しかない右目には、彼女のすっかり怯えきった表情が焼きついた。
──ワタシには関係のないことなのに、なんで?なんで心配する必要があるの?
「ありゃあ、あの娘も敵対視されちまってるな。どうする?『デストロイヤー』。殺るついでに守っちまうか?」
あの『化け物さん』まで、あの人を気の毒に思っているようだ。
ワタシはお兄ちゃんにしか興味無いけど、ここはお兄ちゃんに認められるために手を貸さなきゃ。
ワタシはお兄ちゃんのマフラーを軽く引っ張った。
「ん?何だ?って、だから!オレはお前なんて知らねぇって!…………くそっ!」
お兄ちゃんはスクーレに飛んでくる石を跳ね返しながら振り向いた。
──十分でいいから気絶してて。ごめんね、お兄ちゃん。
「え?……ぁ……────」
「わ、ちょっ?!」
『化け物さん』に魂だけ飲み込まれたお兄ちゃんはスクーレの方に倒れ込み、彼女はひどく驚いた。
──……ごめんなさい、スクーレさん。
ワタシはできるだけ大きくジャンプし、『化け物さん』たちに指示をした。
すると二体は魚を食べるときより大きな口を開け、人間たちを払ったり食べたりして忙しなく動き回った。
──ワタシの意識が戻ったとき、そこは死屍累々とした町になっていた……。
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