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「星空の下、駆けていく……風情があるのかないのか……はぁーあ……」
お兄ちゃんは上を向いて嫌そうな顔をした。
「静かにしないと見つかるぞ」
「はいはい。てかお前を信用したという訳じゃないから、ちょっとは優しくしろよな」
お兄ちゃんはスクーレ……さんを抱えてくれている。それだけでも大変助かる。
「カリビアのところに行こう!」
お兄ちゃんが声を張り上げた瞬間だった。
「誰のところに行くって?」
「ゲッ……その声は……」
前方から怒気混じりの声が聞こえた。
その声にお兄ちゃんは身を強ばらせる。
まさか……。
「どうして『デストロイヤー』といるのかな?レイン。詳しく聞かせてもらおうじゃないか」
茶髪に白い服、左右の長さが違う青いズボンを身につけた男性が立っていた。
「か、カリビア……これはちゃんとした理由があって……」
お兄ちゃんはしどろもどろになっている。それほどの人物なのだろう。
でも……魔力は────どこ?
「さぁ、『デストロイヤー』を引き渡してもらおうか」
カリビアは手を出す。
あの人、勝手なことを……。
「……カリビア……」
お兄ちゃんは明らかに困っている。
でも、ワタシが前に出たら……!
「おやおやまぁまぁ!久しぶりに帰ってきたら早速喧嘩を目の当たりにするとはなぁ!」
「えっ?」
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