第1話 静かな戦い

6/6
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/95ページ
「……これで良かったの?ノート」  アナスタシアはサニーを抱え、頭を撫でながらこちらを見る。  オレ……いや、ボクは指を鳴らし、変身を解いた。 「はい。ありがとうございます」  確かに髪の毛はあるのに、透明に見える髪。少し薄い紺色のコート。そして、戒めの金の輪を身に着けた姿。  これが本来のボク──『アストロ・ノート』だ。 「そういや本当のレインはどこなの?」 「丘で寝かせています。クッキーに睡眠薬を仕込みましたからね。彼はあれでも悪魔……今ごろアメルはパニックになってるでしょう」  ボクはその状況を頭に浮かべ、苦笑いした。 「あらあら。魔界を任された神なのに、放置で大丈夫?スクーレに叱られるわよ。それか人間たちからクレームが来るわ」  それも、信仰に影響するほどに……と、付け加えた。 「む……どちらも恐ろしいですね……。わかりました。では、カリビアのところに移動させておきましょう」 「ふふ、それなら不死の死神の仕事が無くなりますわよ。かわいそ」 「……では、放置──としておきましょうか」
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!