第2話 デストロイヤー

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第2話 デストロイヤー

「なぁ~にぃ~?お兄ちゃん、こんな遅くにぃ……ふああ〜……」  オレは大きな大きなあくびをしながら、綺麗に加工されたドアを開いた。  ……人間たちが元の場所に帰って数ヵ月。クノリティアはそれはそれは大変なことになっていた。  霊界が言ってしまえば粗大ゴミになってしまったので、お兄ちゃんのパワーフル稼働でなんとかしたのだ。もちろんパワー不足なのでカリビアさんとマリフの道具を借りたのだが……。まさに魔法と科学の夢のコラボである。  どうしてマリフが協力できたのかって?  それはお兄ちゃんが特別に人間界のいわゆる『刑務所』に穴を開け、黒池監修のもと、作業していたのだ。  そんなお兄ちゃんがこんな夜中に何の用なんだろうか……。 「おぉ、ムジナ。ごめんよ、眠いだろう?だが、これを見てくれ」 「モニター?いつの間に……って誰?これ」  お兄ちゃんが差し出したパッドを見ると、そこには茶色いセパレートワンピースを着た少女が映し出されていた。 「これは巷で噂の『デストロイヤー』だよ」 「えぇ?こんなちっちゃな子が?」  どう見てもオレと同じくらいの女の子だ。 「しょうがないだろ、そういう情報なんだから。こっちも見てくれ」  お兄ちゃんがパッドの画面をスライドする。そこには破壊された岩……ではなく、建物が映っていた。 「わぁ、ボロボロだ!」 「これは彼女が破壊したと見られている。怪我人の他に死者まで出ているみたいだから、これから外に出るというのなら、先に注意しておきたくてね」  お兄ちゃんは画面を見ながら不安そうな顔をした。そりゃそうだ。やっと一つの戦いが終わったと思ったら、新たな脅威が現れたというのだから。 「でもなんで見せてくれたの?」 「それが……この紙を見てくれ」  そう言ってお兄ちゃんは机の引き出しから一枚の紙を引っ張り出した。  そこには『お兄ちゃんはどこ?ワタシのお兄ちゃん……ここにはいなかった。引き裂いちゃったみんな、ごめんね』と、なんとも怖い言葉が書かれていた。
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