新たな出会い

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立ち話もなんだからと、駅に隣接するカフェで少し話をすることにした。 音楽の話題になると、互いに被せ合うようにして話が続いた。弦については「最高ッスね!」とニコニコ顔だった。 「シオンちゃんは僕らの2個下か…専門学校は何系なの?」 「デザイン系なんスけど、自分はグラフィックデザインを勉強してて」 「音楽じゃないんだ?」 そう言うと、タピオカ入りのミルクティーを吸い込んだ後、苦そうな顔をして言った。 「自分…楽譜読めないし、聴く専門っていうか。聴いてる方が好きなんスよ。デザインの勉強も難しいけど、唯一無二のモノが作れる点では一緒だし、ライブのポスターとかMVのデザインとかなら、音楽に関われるかなって…」 少し悔しそうに語ってはいたけれど、僕はとても感心した。目標があるっていいなと心から思った。 「キョーイチさんは、やっぱり音大出てるんスか?」 「いや、出てないよ。小さい頃少しだけピアノ教室には通っていたけど、もう記憶にないくらい。真面目に音楽に向き合ったのは、もっと大人になってからなんだ」 「へぇ~、なのにあそこまで弾けるって…マジ神ッスよ」 僕は首を横に振り、静かにアイスコーヒーを口に含んだ。 両親は僕にいずれ音大を目指して欲しかったらしい。 真面目に通う僕をピアノの先生に褒められ、親達はその気にさせられたのかもしれない。 ピアノ以外に興味を持つようになって、他のことに熱中するとレッスンが嫌になった。 毎日の練習も、ただひたすら興味のない練習曲を繰り返すことにうんざりしていた。 音楽を嫌いになったことはないが、やっていたことは僕の好みではなかった。
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