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「響一?」
一旦離れた弦が、すぐに来ない僕を迎えに来た。
僕は慌てて鍵を戻すと、席を離れた。
頭の中は限定ハンバーガーや美味しそうなポテトよりも、さっき見た病院のパンフレットでいっぱいになった。
弦は毎回、病院に用があって来ていたのか?
誰かが入院している?
一番考えたくないのは、本人が何かしらの病気にかかっていることだ。
こんな遠くの病院に来るなんて、小さな病ではないのだろう…。
それぞれ注文した品を受け取り、席へと戻った。
ちらりと弦が注文した品を見るも、デカいハンバーガーに、さらに追加のチーズバーガー。加えてLサイズのポテト…病人が食べる量じゃない。
「どした? なんか暗くね?」
大口を開けて美味しそうに食べる様子を、僕はつい眉間にシワを寄せながら見つめてしまった。
「いや…元気、だよなぁって思って」
「え? まぁ移動は何気に疲れるけどな」
そう言いコーラを飲んで、大きく息を吐いた。
僕もちびちびとポテトを食べ始める。
半分ほど食べ進めたところで、明日の曲順などを確認した。歌詞のあるオリジナル曲は今のところ2つだから、他はまたカバー曲になる。
「おぉ、いいね。この曲好きだわ」
弦は今までのライブのセットリストも褒めてくれた。
知らない曲もあったけど、選曲がどれも好みだったらしい。
「いつから聴いてくれてたの?」
「半年前くらいかな。こっち来た時は、駅で路上ライブやってると見に行ってた。その中でも一番ハマったのが響一のライブだったな」
そんな風に言われると、嬉しくてニタついてしまう。
誤魔化すようにハンバーガーへ食いついた。
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