Walking on the Milky Way

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 これで終われたとホッとしたのも束の間。1度で終わりじゃないんだと気がついて、膝を抱えた腕に力を込めて、サイコロを睨みつける。  ダンは見事にサラとキスする事に成功した。  念を必死で送っていたのに、黒いサイコロはまた5を出した。  相手はふたつ年上のジェイクっていう男子だ。俺の前にもサイコロのせいでキスをした男子たちがいた。女子同士でもしていた。  みんなが周りで、うける、最高、なんて勝手なことを言って笑っている。  ジェイクは余裕で、お前ら黙って見てろ、なんて軽口を叩いて笑っていた。  俺はただ固まっていただけで、ジェイクは俺の後頭部に手を添えると、唇を合わせて来た。ただ、そっと合わせただけのキス。だったのに、その瞬間、心臓が飛び跳ねて。目を開いてジェイクのエメラルドグリーンの瞳を見た瞬間から、そわそわと落ち着かなくなって。そこからパーティーがお開きになるまでの事はよく覚えていない。  *  うずく胸を抱えて帰路に着いた。ミシェルの家からうちまでは、そう遠くないのに、トボトボと歩く道のりが永遠に感じた。  ダンはサラを家に送って行くと言って一緒に歩いて行った。運良く2人とも、1度しかサイコロが当たらなかったし。お互いになにか通じるものがあったのかも知れない。  少し歩いても、胸の動悸が治らない。  妙なゲームのせいで、頭がおかしくなったんだと思った。だいたい、ジェイクなんて人は見た事もなかったし、今後もう会う事もないだろう。次に呼ばれたって絶対に家になんか行かないし、今日の事はただのアクシデントだから、そのうちに忘れる、そう自分に言い聞かせた。
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