Walking on the Milky Way

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「え……なに」 「さっきの、初めてじゃないの?」 「ち、ちが」  嘘じゃない。だって、ジェイクの前に女子ともしたから、正確には2番目だ。 「あの子としたのも忘れなよ、あんなのただの衝突事故でしょ」  俺の目をじっと見つめて、笑う。笑わないで欲しい。ジェイクに笑われると、胸がザワザワとしてまともに頭で考えられなくなるから。  それに、ずばりと言い当てられて、黙るしかない。 「綺麗な目だね」  そんな歯の浮くような事を、同性の俺に平気で言う。意味がわからない。それに、綺麗なのはジェイクのソーダキャンディみたいな瞳の方だ。  ジェイクの頭の上に、小さいけれど強く輝く月が見えた。  人気のない路地裏の壁に追いやられて。一体この状況ってなんなんだろうって、回らない頭に浮かぶ。バカみたいだ。  早く帰らないと、そろそろママから電話が掛かって来そうだな、なんて思った瞬間。  視界が暗くなって、輝いていたお月様が消えた。  次に、唇にしっとりとした感触。  訳がわからなくてジッと耐えている間に、ジェイクは俺の腰に腕を回して、抱きしめる。ぐっと体が近づいて、胸がぶつかった。  ハッとしたのは、ジェイクの舌が口の中に侵入して来た時だった。瞬間的に、何をしてるんだって正気に戻って、驚いて手のひらで彼の胸を押し返そうとした。なのに、腕で押しても、ぐっと強く抱き直されるだけで、体は離れていかない。後頭部も手のひらで固定されていている。  なんとかしようと後ろに下がったら、背中に壁が当たった。  まるで別の生き物みたいにジェイクの舌が口の中を動き回っている。逃げても何度も絡め取られて捕まえられてしまう。そのうちに、それが、違う感覚を生み出し始める。  なんだこいつ、嫌だ。て、思っていたはずなのに。押し返そうとしていた手でジェイクのTシャツの胸の部分をギュッと握って、体の奥底から湧き上がって来る初めての感覚に、必死で耐えていた。
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