人の振り見て我が振り直さず

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 そうこうしているうちに第1レースが終わり、すぐに第2レースが始まった。  俺はタケルの走りにしか興味がなかったのであまり集中して見ていなかったのだが、しばらくすると隣の席から大声が聞こえてきた。 「よっ! 足にターボエンジン付けてんのかい!」  驚いて隣を見ると、いつの間にかそこにいた日焼けマッチョが、走っている選手に向かって大声で叫んでいた。  足にターボエンジン付けてたら反則だろ、と思いながらも俺は何も聞いていないフリをしたが、日焼けマッチョはその後も叫び続けていたため、鼓膜が破れそうになった俺は注意した。 「あの、静かにしてもらっていいですか!?」 「あっ、すみません……」  意外にも、日焼けマッチョはすぐに謝った。 「僕、ボディビルダーの大会を見に行くのが趣味でして……いつもそこでボディビルダーに向けて掛け声をかけているので、その感覚で今日も言ってしまいました。すみませんでした」  そう言うと、日焼けマッチョは気まずそうにどこかへ行ってしまった。
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