君奏イヤーワーム

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「友梨。さっき三上(みかみ)くんが呼んでたよ。屋上で待ってるって」 「三上が?え、なんだろ」 「またまたぁ〜。どうせでしょ?」  胸元の造花のコサージュを揺らしながら楓がにんまりする。  その言わんとしてることを察して、私は一応、否定しておく。 「違うんじゃない?」 「ま、良い報告期待してるよ〜」  にやにや笑みを浮かべる楓に見送られて、すっかりしんみりモードに入ってしまっっている教室を抜け出す。  廊下が思っていたよりも、ずっとひんやりしていて少し驚いた。    一人、目指す場所は一つ。 「お待たせ、三上。私のこと呼んだ?」 「――ああ」  ベースが低音を伸ばすような、大人びた音色が響く。  お決まりの笑顔で登場してみせると、三上はなぜか少し眉をしかめたあと、単刀直入に切り出した。 「お前さ、最後くらい本音、見せろよ」
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