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僕には弟がいる。ユウだ。僕はユウが嫌いではないけど、ユウはお母さんを独り占めしてしまう。ユウが生まれてくるまでは僕だけだったのに。って思う。
でもやっぱりユウはかわいい。つまり僕はユウが好きみたい。
ユウはよく夜中に泣いている。僕はユウの泣き声で目が覚める。お母さんも起きてきて、ユウを抱っこする。お母さんは大変そう。
「ユウはなんで夜中に泣くの?お母さんも大変でしょ?だめだよね。」
僕はある日お母さんにそういった。けれどお母さんは
「あら、シュンもよく夜に泣いていたのよ。今は泣かないけれど。」
って言った。そうなんだ、僕はそう思ってユウが悪いって思わないようにしようってそう決めた。
僕はお兄ちゃんって言葉が大好きだ。
「すごいね、お兄ちゃんは。」
隣の田中さんに言われた言葉。ユウと一緒に遊んでいただけだったけど
「お世話できて偉いね。」
そう言われる。お母さんも嬉しそうに
「お兄ちゃんになったもんね。」
と僕に言う。僕はお兄ちゃんだったら褒められることを知った。
お母さんが買ってきたお菓子。一つしかなくて、ユウと分けることになった。僕がふたつにしたら大きさが少し違く、大きいほうと小さいほうに分かれてしまった。
「ユウはこっちね」
僕は小さいほうをユウにあげた。だって僕はお兄ちゃんだから、大きいほうでしょ。そう思ったのに
「シュンは小さいほうよ。お兄ちゃんなんだから譲りなさい。」
お母さんはそう言って僕とユウのを入れ替えた。
新しく買ったおもちゃ。僕から使おうと思った。
「こら!シュン。ユウが先よ。」
お母さんがそう言う。
「えー、僕が買ってもらったのに。」
「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」
お母さんは反論した僕にそういった。お兄ちゃんって我慢しまきゃいけないものなの?僕は少しお兄ちゃんが嫌いになった。
ある日、お父さんが家に帰ってきた。お父さんはあんまり家にいなくて寂しいけど帰ってきたときすごく優しくしてくれるから我慢できる。
夜中、僕は目が覚めた。お父さんとお母さんがケンカしていた。
「シュンにあんまり我慢させないでくれ。カワイソウじゃないか」
お父さんがそう言った。カワイソウがなんなのか僕はわからなかった。
お父さんとお母さん、そしてユウと一緒に公園に行った。ご飯を食べて、遊び始めたとき、ユウがいなくなった。
「「ユウ!ユウ!」」
お母さんとお父さんがユウの名前を呼びながらユウを探す。僕もユウを探すことにした。僕は林を見つけた。なぜだかそこにユウがいるような気がして、林の中に入ろうとした。そのとき
「お兄ちゃん!」
ユウの声がした。後ろを振り返ると、ユウが泣いている。僕はそのユウがすごくカワイソウに見えて言った。
「大丈夫、お母さんたちのところに行こう。」
僕はユウの手をひいて、お母さんたちのところに行った。
「ユウ、シュン!」
お母さんの声がした。
「ありがとう、ほんとにありがとう。」
お母さんが泣きながら言った。
「すごいなシュン。かっこいいお兄ちゃんじゃないか。」
「お兄ちゃん、大好き!ありがとう」
お父さんからのユウからもそういわれた。僕はまたお兄ちゃんが好きになった。
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